売却物件の仏壇供養にお立会い

【売却物件の仏壇供養にお立会い】

売却物件の室内に仏壇が残されていたため、僧侶による供養を行い、そこに立ち会ってきました。
本件は「相続財産清算人」による不動産売却という特殊なものです。

<今回の流れ>
①独居していた高齢者の方が死去。
②相続人は全員、相続放棄。
③所有不動産は国庫に帰属。
④住宅ローンが残っており、返済を必要とする債権者が家庭裁判所に対し「相続財産清算人」選任を申請。
⑤家庭裁判所が「相続財産清算人」として司法書士を選任。
⑥その司法書士から、弊社が売却依頼を受ける。

相続人は、故人が所有していた預金・不動産等の相続財産を相続放棄し、室内に残された家財道具一式にも一切手を付けず、仏壇まで残されてしまいました。

仏壇供養に立ち会ったのは、相続財産清算人である司法書士と、不動産会社の担当である私の2人だけでした。
2人共、遺族でも何でもない赤の他人です。

供養をして頂いた僧侶の方も、故人が檀家であった寺院の住職などではなく、私がご手配した僧侶でした。

供養を終えた仏壇は、残置物撤去業者によって廃棄物として処理されることになりました。
仕方ないこととはいえ、仏壇が位牌や遺影と共に業者のトラックに乗せられて行くのを見送るのは、何とも寂しい気持ちがしてしまいました。

本来、仏壇は代々、先祖へ永続的に祈りを捧げる場として設置されたものであるはずです。
故人もまさか、自分の代で仏壇の存続が途絶えるとは夢にも思っていなかったでしょう。

「超高齢化社会」や「独居老人」、「孤独死」などの言葉はニュースでよく耳にしますが、正にそれを実感する出来事でした。

本物件は経済的価値のある物件であったため、相続財産清算人や不動産会社によって、売却に伴う手続きとして仏壇供養を行うことができました。
しかし、経済的価値が無ければ、そのまま放置され続けることになったことでしょう。

仕事柄、「相続」や「終活」といったものに関わることが多いですが、それらは旅立ったタイミングで『遺族』が存在していることを前提としています。

本件のように、それが実現できないケースもあり、同様のケースは今後、さらに増えていくものと考えられます。
今回のように、赤の他人にすら見送ってもらえないケースも多発してくることでしょう。

今は墓じまいをして、永代供養に切り替えたりすることも多いようです。
昔の感覚からすれば、「先祖代々のお墓を放棄するなんて、あり得ない!無責任だ!」という話でしょう。
でも、遠方にお墓があって十分に管理ができないのであれば、その方が無責任なのかもしれません。

そういった需要が増えてきて、最近では海洋散骨や樹木葬といった新たな形も支持されています。

お墓以前に、葬儀のあり様も家族葬や直葬など簡素化の方向にあるようです。
仏壇やお墓といった昔ながらの物を残していくことは、時代に沿わなくなってきていますね。

皆さんは、田舎の仏壇やお墓、実家のことで困っていませんか?
私自身の実家もド田舎にあるため、昔ながらの仏壇やお墓があり、その継承について改めて考えさせられるきっかけになりました。

今日は朝から、お香の臭いが染み付いたスーツで仕事を続け、いろんなことを考えて本投稿をするに至っています。